フランクフルト~旧式ディーゼル車の乗り入れが禁止に

今月の初め、ヴィ―スバーデンの行政裁判所が、ある判決を下しました。それによりフランクフルト市は2019年2月から旧式ディーゼル車の乗り入れの禁止が決まりました。ユーロ6(自動車排出ガス規制値)対応のディーゼル車以外、つまりユーロ5対応までのディーゼル車は、フランクフルトの市街地を走行できなくなるというものです。実はこの判決を私は注意深く追っていました。というのも我が家の自家用車がユーロ5のディーゼル車であるためです。様々な事情から長距離移動が多い我が家では、燃費がガソリンよりもいいディーゼルを選択しました。決して古い車種ではなく、3年半ほど前に購入した新車です。その当時はまだユーロ6対応の車種は出ておらず、ユーロ6対応車は翌年まで待たないといけない状況でした。そんな事情もあって、今回の判決に驚きながらも、環境と健康のためには仕方がないという気持ちも持ちながら受け止めています。(上記写真はHessenschauサイトより抜粋)

では、どうしてこのような判決が出たかというと、ドイツでは都市の大気汚染が深刻化しており、改善のためには、窒素酸化物(NOx)などを多く排出するディーゼル車の市街地乗り入れの禁止が効果的と言われているからです。窒素酸化物の大気汚染は、呼吸器疾患や心血管疾患、肺などの問題を引き起こしたり、悪化させる可能性があるとされています。Frankfurter Neue Presse(フランクフルター・ノイエ・プレッセ紙)の記事を引用すると、空気1立方メートル当たり40マイクログラムの二酸化窒素(NO2、窒素酸化物の1つ)の限界値(健康に害を与えない範囲)に対して、2017年のフランクフルトの年平均値は47マイクログラムで、限界値を超えてしまっています。ちなみにフランクフルト近郊の都市であるDarmstadt(ダルムシュタット)は52マイクログラム、Wiesbaden(ヴィ―スバーデン)は50マイクログラムと更に上回っています。
ディーゼル車規制をめぐっては、ドイツ第2の都市であるハンブルグが今年の5月から一部の道路でディーゼル車の通行を禁止しており、またシュトゥットガルトでも2019年から市街地の乗り入れが禁止されることが決まっています。
フランクフルトでも2019年2月からは、ユーロ4までのディーゼル車が規制の対象となり、2019年9月からはユーロ5のディーゼル車も対象となります。地元メディアによると、フランクフルトはディーゼル車所有率が他の都市に比べると高いそうで、フランクフルトの全登録車のうち約42パーセントがディーゼル車(ユーロ6対応も含め)だそうです。フランクフルトのユーロ5以前のディーゼル車両所有数はおよそ74,000になり、この中に、フランクフルト郊外から通う通勤者車両は含まれていません。
このように多くの人が影響を受ける規制ですが、ユーロ5対応のディーゼル車は、比較的新しいため、ハードウェアの改装で走行が可能になるそうです。ただ、改装費用は高額になるとか。この費用はどうするのか、街を走る公共の古いバスはどうするのか、まだまだ課題も多く、議論が続いています。
環境、健康問題に言及すれば、ディーゼル車だけに問題があるとは思えませんが、一人一人の環境に対する意識、利便な生活様式を省みることも必要になっていると感じています。