ドイツで注目高まるデジタル見本市、どんな感じかお伝えします


今、ドイツでリアル見本市の代替として増えてきているデジタル見本市の全貌をご紹介いたします。

デジタル見本市は欧州マーケティングの「ニューノーマル」となるのか、要注目です。

 

見本市王国と呼ばれるドイツでも、大型見本市の再開は実質的には9月以降となる見込みです。

コロナ感染の影響が大きかった今年春に開催予定だった見本市のほとんどは今秋または来年に日程変更していますが(見本市の日程変更はこちらをご覧ください)、先月から少しずつ、デジタル形式での見本市開催が目立ち始めています。

 

例えば、春開催の世界有数の大型見本市ハノーバー・メッセは、「ハノーバー・メッセ デジタルデイズ」という名で7月14日、15日の二日間、デジタルイベントを開催。

先週には、再生エネルギーがテーマの見本市およびカンファレンスPCIM Europeのデジタルイベントに、欧州限定、初の試みながら4,500名以上の参加者を集め成果の多いイベントになったとのニュースが出ています。

 

いずれも、コロナウィルスの脅威が収まればまた従来のリアル見本市の形に戻ることを想定してのデジタル開催ではありますが、デジタルでの成果が確認できれば、今後のリアル見本市への融合も大いにあると思いますし、また、もし今の状況が長引くようであれば、デジタル見本市の開催期間もある程度長いスパンになるかもしれません。

 


デジタル見本市 ドイツでの現状

 

ドイツでは今年3月に入ってから新型肺炎の流行が深刻になり、3月中旬から次々と見本市の中止、延期が決まり、3月下旬から現在まで、ほとんどの見本市会場が閉鎖状態となっています。

ドイツでは開催地が位置する州の規定で開催の可否が決められ、フランクフルトのあるヘッセン州やデュッセルドルフやケルンのあるノルトライン・ヴェストファーレン州などでは衛生管理の条件を満たした見本市の開催は認められています。

ただ、今の時期がちょうど大型見本市の開催が少ない夏休みシーズンであることもあって、実際にはほんの一部の、小規模な見本市やイベントの開催にとどまっており、ドイツ全土で見本市が本格的に再開するのは、見本市シーズンが始まる9月以降になると見込めます。

 

一方で、春先に延期や中止となった見本市が、代替形式としてデジタル、オンラインで開催するケースが先月から増えています。

例えば先週には、例年ニュルンベルグで5月に開催される見本市兼カンファレンスPCIM Europe(欧州の再生エネルギー関連)がデジタル形式で開催され、4,500名以上が参加、300以上のプレゼンテーションが公開され、2日間の開催期間中に出展者と来場者の間で25,000回以上のメッセージ送信のやりとりがありました。

この見本市の前回の来場者数は約12,000名、出展企業は525社なので、前回実績からすると多いとは言えませんが、初めての試みでありながら多くの企業が参加し、ビジネスチャンスを獲得することができたようです。

 

とはいえ、このPCIM Europeも、終了直後に「来年はリアルでやります」と発表しており、現時点ではデジタル見本市は、リアル見本市が開催できない間のつなぎ的な役割と考えられています。長らく、特にヨーロッパでは長く続いてきた、見本市の会場に足を運んで実際に売り手の人と買い手の人が出会って、理解しあって商談を成立させる、という習慣は、そう簡単にガラッとは変わらないのかもしれません。

ただその一方で、ドイツの見本市業界で今よく聞かれてくるのは、「アフターコロナ後の見本市の形は、たとえ感染リスクがなくなっても変わってくるだろう」という声です。

「つなぎ」として開催しているデジタル見本市の良さを、リアル見本市と組み合わせる形でこれから発展していくのではないかと、これからもデジタル見本市の動向に注目したいと思います。

 

(写真左上)デジタル見本市ログイン画面(右上)ブース代わりとなる出展企業紹介ページ (右下)出展企業の各部門担当者が表示され、メッセージを送ったりビデオ通話が可能。(左下)カンファレンスの質疑応答

*写真:https://pcim.mesago.com/nuernberg/en.html#review

 

デジタル見本市のメリット、デメリット

 

まずはメリットについて

 

1. コスト軽減

リアル見本市でのご出展となると、ブーススペース費用、設営費に加え、ご出張のための航空運賃や宿泊費等大きな費用が必要になりますが、デジタル見本市の場合、そうした物理的な部分の費用が軽減されます。今まで以上に、見本市へのご出展のハードルが低くなります。

 

2. 訪問者の把握が意外としやすい

バーチャルで来場者と接するというと距離を感じられるかもしれませんが、デジタル見本市でのコミュニケーションは、よりお互いを理解した上での商談ができそうです。リアル見本市の場合、ブースを訪れた来場者でも名刺にある情報のみ、または名刺交換をしてくれない場合も欧州ではありますが(欧州では日本ほど名刺交換を重視していなくて、自分が必要と思う時だけ名刺を出すという習慣が背景にあります)、バーチャルの場合は、訪問者の登録情報を基に、名刺に書かれている情報に加え、これから商談をすすめていくために参考となる情報を確認することができます。この点は欧州のプライバシー法の観点から見本市によっては今後登録情報が確認できない場合も出てくるかもしれませんが、その場合も、商談を希望する人はかなり強い関心をもっている可能性が高く、より高い成約率が見込めます。 

 

3. 新規出展にチャンス

リアル見本市の場合、会場内では規模の大きなブースが目立ち、来場者の動線から外れる位置にブースがある場合など、大きくて目立つブースが羨ましくなることもあるかもしれません。特に新規出展では集客に苦労される場合も多いと思います。デジタルの場合、現時点では出展ブースの規模や過去の出展実績での違いはなく、バイヤーの目に触れる機会はほぼ均等だと言えます。ただもちろん、集客の努力が差をつけますので、デジタル見本市での出展スペース(ウェブページ)での見せ方がとても大事になってきます。そういう時は、私達のデジタルマーケティングサービスがしっかりお役に立てます!お気軽にお問合せください。

 

この他にも、あ、この点がチャンスに活かせそう、という発見がいくつかありますが、まだ実例が少ない中での判断なので、もう少しちゃんと確認してから紹介したいと思います。

 

反面、次の点が現時点で課題になりそうです。

 

1. 商品に触れられない

リアル見本市の良さのひとつは、実際に商品を試せること。現時点のデジタル見本市では、サービス業等物理的な商品を介さない場合を除いては、この点が課題となってくると思います。実際に商品に触れられない中でも、自社商品のメリットをわかってもらえるような、デジタル見本市での見せ方、伝え方がここでも大切になってきます。(私達のデジタルマーケティング、この点での活かしていただけます!)

 

2. 時差

現地に赴く必要がない分、時差が影響してきます。欧州との時差は見本市が多い冬時間の期間は8時間、日本時間夕方5時にドイツのデジタル見本市が開催となります。開催時間前にもアクセスできる情報はありますが、実際に出展者と話をするのは、夕方5時以降から深夜になってしまいます。この点、弊社のビデオ会議サポート通訳をご利用いただく事でご負担が軽くなります。リアル見本市でのブースでは、席を外される時は弊社の担当スタッフが代わりに対応し、重要な意思決定が必要な時に相談するという形を取らせていただいておりました。

 

3. 言語

リアル見本市と同じく、言語は英語、ドイツ語が主になりますのでデジタル見本市でも言語の壁が存在します。この点、私達がお役に立たせていただきます。デジタル見本市での通訳サービスはまだこれからという状況ではございますが、ビデオ会議サポート通訳と同じような形でお手伝いさせていただけると思います。どうかお気軽にお問合せください。

 

 

ドイツでのデジタル見本市開催がスタートして約3週間での状況を紹介いたしました。

今後も面白い発見がありましたら、ご紹介します。

 

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