通訳、翻訳をご依頼くださるお客様に一番よく聞かれるのは、
「ヨーロッパの場合、外国語は英語だけで大丈夫でしょうか?」
答えは、実際には、その時の状況によって様々になります。
ただ、どちらかというなら ー もし、時間的にも予算的にもきちんと余裕があって、本気でヨーロッパで売り込まれたいなら ー 迷わず、英語以外でのコミュニケーションもご用意されることをお勧めします。
英語以外もお勧めする理由となるのは、まず、こちらのデータ。
少し前に実施したものではありますが、欧州委員会がEU加盟27か国を対象に実施した、オンラインでの母国語以外の言語の利用について調査した結果です。
オンラインでの情報を母国語以外でも読む、または観ると答えたのは、全体の半数を超えています。この数字、多いと思われますか、それとも、意外と少ないと感じられましたか?
この調査は特にビジネス従事者を対象としているわけではないので、調査をビジネス従事者に絞れば、もう少し多くの割合で読むと答えるかもしれません。ただ、それでも、ヨーロッパのビジネス環境を見ている私達の予測では、そんなに劇的に割合が変わるとは思えません。
この調査結果から言えるのは、例えば、私達日本企業が欧州の企業向けに英語でウェブサイトを作成し情報を伝えようとしても、見てくれているのは全体の約半数の人だけという事です。この時点でビジネスチャンスが半減してしまっています。
さらに驚くのは、オンライン上で母国語以外の言語を書くかどうかの回答結果です。
書くかどうか、となると、「書かない」が59%と大幅に増え、「書く」と答えた割合を抜いています。
母国語以外で読むのは約半数がOKだけど、書くとなると、35%になってしまっています。
例えば私達が欧州の顧客候補に一生懸命英文メールで働きかけても、約3分の2の人は返信に躊躇してしまっている、とこのデータを基にすると考えられます。
これはEU加盟国全体での平均データなので、もう少し詳しく、国別のデータで見てみます。
8割以上が母国語以外で書いているという、フランス語、ドイツ語が母国語並みに浸透しているルクセンブルグのような例もありますが、ドイツで母国語以外で書くと答えているのは、EU平均よりわずか1ポイント多い36%、フランスはEU平均より2ポイント低い33%、イタリアでは4人に3人は母国語以外では書かないと答えています。
ヨーロッパってあんまり英語が得意でなかったんだな、という印象がこのデータを見ていると生まれてくるかもしれません。
が、例えば、スウェーデンの英語教育機関Education First社が公表する世界各国の英語能力レベルで、ヨーロッパの多くの国は英語能力が高いグループに含まれます。
濃い青(藍色)の国が「非常に高い英語能力」、濃い緑色が「高い英語能力」、薄い緑色が「標準的な英語能力」の国で、ヨーロッパのほとんどの国が標準以上の英語能力とされています。
非常に英語力が高いとされるスウェーデン、デンマーク、オランダでさえも、母国語以外で書く割合はほぼ半分に留まっています。また、英語力はそれほど高くないとされるスペインで母国語以外の言語への抵抗が比較的低い結果となっていますが、この場合、母国語以外=英語というよりも同じラテン語圏のフランス語、イタリア語を意味している場合が多いと思います。
英語力が高いとされるヨーロッパであっても、英語でのコミュニケーションは、母国語でない場合、億劫に感じられているということなんですね。
スペインの例でも触れましたが、私がヨーロッパに来て感じたのは、英語以外の言語の方が意外と目につくところです。
例えば電化製品を購入した時についてくる説明書、ドイツではドイツ語の他にフランス語、スペイン語での説明はあるのに英語はない、という事がよくあります。
ドイツに来たばかりの頃は英語だけが頼りでしたので、説明書のページを何度めくっても英語のページがなくて焦ったことがありました。
そして、決定的なのは企業のウェブサイト。
国外でのビジネスに力を入れている企業は、ほぼ全て多言語でのサイトを設置していますが、それは英語だけに限らず、フランス語、ドイツ語、スペイン語、また東欧に注力する場合は東欧諸国の言語が用意されているのです。
それぞれの国の言語に合わせた多言語ウェブサイトが効果が高いということを、とてもわかりやすく表していると思います。
海外向けは英語サイトだけ、という方、ぜひとも多言語ウェブサイトの設置をお勧めします。
私達アンサンブラウでは、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語を始め、様々なヨーロッパ言語でのウェブサイト、会社案内、プレゼン資料等のコンテンツ制作をお手伝いしております。
ぜひお気軽にお問い合わせください!
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