青山 香織
アンサンブラウ イベント+マーケティング
2020年頃より注目されはじめ、今、世界的にインテリアの注目トレンドとされているのがジャパンディ(Japandi)です。
ジャパンディとは、日本の"Japan"と、スカンジナビアの"Skandi"の語尾の"andi"を組み合わせた造語で、日本のミニマリズムとスカンジナビアンデザインの機能性をミックスした、シンプルで自然を感じる心地よいインテリアスタイルのことです。
特徴として次の点があります。
1.シンプルなラインを描く家具やデコレーション
上のドイツのインテリア系インスタグラマーの投稿にあるように、真っ直ぐな線や無駄のない弧を描く円形など、シンプルな形の家具や装飾が基本。
シンプルな中に遊び心のあるクラフトワーク(ハンドメイド)のアイテムをアクセントとして加える事でバランスが取れます。
家具類は必要最小限にして、空間を多く取るのが特徴的です。
家具の高さも、低めなものが好まれます。
2.自然素材
自然素材の良さを生かしているのがジャパンディの大きな特徴です。竹や木、特に明るめのオーク材を使ったテーブルや椅子などの家具、麻のファブリック、和紙を使ったランプシェードやブラインドなどの人気が高いです。
自然素材を生かす点はエコ、サステナブルトレンドにもつながっていきます。
また、植物の取り入れ方も。沢山の咲き誇る花を花瓶に溢れるように活けるのではなく、日本の生け花をイメージしたような、"適量”の植物を空間と調和させて活けます。シュッとした枝物が多く見られます。
3.ニュートラルなカラーに黒のアクセント
自然素材にマッチするのは、ナチュラルなイメージのカラー。ベージュや生成り系の色のグラデーションで、自然で温かな雰囲気が生まれます。
自然光を取り入れたり、温かな色相の光を照明で加えています。
Japandiインテリア成功のポイントとなるのは黒などの濃い色のアクセント。はっきりとしたコントラストを強調するというよりも、ポツポツと墨を数滴落とすようなイメージです。
ドイツのインテリアショップでもJapandiは注目トレンド。
多くのお店がウェブサイトで取り上げています。
こちらはセグミューラー(SEGMÜLLER)のジャパンディ特集
ドイツ南部の郊外を中心に大型7店舗を展開しています。
セグミューラーは、南ドイツやチロル地方のログハウスのような家に合う家具が得意で、和を感じさせたり北欧のシンプルな家具とは遠いイメージがありました。
ジャパンディ特集ではインテリア系インスタグラマーにコーディネートを担当させて力を入れています。
一方で、セグミューラーらしい素朴さも感じます。
木製の明るいトーンの家具に竹のデコレーション、黒色のフレームでジャパンディの特徴を表していますね。
右側のテーブルの商品名はナガノ(Nagano)となっていて、商品名でも日本推しを感じます。
シュツットガルト郊外型家具店ムーベルク―ニッヒ(Möbel König)のジャパンディ特集はこんなイメージ
先ほどのセグミューラーと比べると、色味が少し強い感じです。
下段の3つの写真イメージは、それぞれ壁の色調を少しずつ変えた場合を並べて示すなど、繊細な説明がされています。
ドイツの家具市場ナンバー1のシェアを誇るイケアも。
デザイナー系インテリア用品の人気オンラインショップ コノックス(CONNOX)でもジャパンディを、ひとつのカテゴリーとして取り扱っています。
セール中の影響もありますが、和紙製のランプの人気が高いようです。
挙げていくとこの他にもたくさんのインテリアショップやメディアがジャパンディに取り上げており、今ドイツで一番注目されるトレンドとなっています。
これは日本製品の市場拡大のチャンス!
なのですが、ここまで紹介した例を見てお気づきの方もいらっしゃると思いますが、日本的なテイストを採り入れたジャパンディなのに、ほとんどのアイテムが、純粋な日本製ではないものが主となってしまっています。
なぜこうなってしまうのでしょうか。
海外市場へのマーケティングに長年携わって経験から、新しい製品や文化が入ってくる時に、最初に受け入れられるために欠かせない要素が「現地化」「現地風にアレンジ」であると考えます。
ドイツや欧州市場に限らず、例えば日本でも、最初に入ってきたイタリア料理で人気が高まったのは「ナポリタン」です。
似たような料理は現地イタリアにあるものの、ナポリタンは当時の日本人に受け入れられやすいようにアレンジされたことで、人気の高いイタリア料理として認知され、今も懐かしさを感じさせるメニューとして健在です(私も作るのも食べるのも大好きです!)。
ナポリタンの他にも、カレーライスやハンバーグ、照り焼きバーガー、クレープもフランスでのサーブの仕方とは全く異なるスティック状のものが大人気になったり、食べ物ばかりの例になってしまいましたが(!)現地化、和風にすることでぐんと普及していますよね。
(今日はジャパンディトレンドの紹介がテーマですので、現地化のパワーについては別の記事でご紹介したいと思います。)
特にジャパンディの場合、「ジャパントレンド」ではなく、スカンジナビアとミックスした「ジャパンディ」なので、ピュアに日本的な物ではテイストが異なってきてしまいます。
ピュアな日本のデザイン、製品には高品質で大変魅力のあるものがたくさんありますので、ぜひこのジャパンディトレンドというチャンスを生かしていただきたいと思います。
そのためにはぜひ、「現地化」について目を向けられることを強くお勧めします。
例えば弊社のユーザー調査では、小予算で現地消費者の好みやニーズを実用的な形で汲み出す事で多くの日本企業のお客様にご好評いただいております。
ジャパンディに乗れる現地化の実現に、ぜひお役立てくださると嬉しいです。
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