青山 香織
アンサンブラウ イベント+マーケティング
ドイツ人のお財布事情について、ドイツ連邦統計局のデータを基に紹介します。
2020年のデータで、世帯あたりの税引前収入は月4,715ユーロ。
現在の為替レートで日本円に換算すると、約641,240円になります。
うち可処分所得は、3,681ユーロ(約500,616円)。
世帯あたり支出の平均は月2,507ユーロ(約340,952円)となります。
可処分所得は、所得から税金や社会保険料を差し引いた金額で、自分で自由に使える金額、という意味から可処分と言います。
税引前所得と可処分所得の差額、1,034ユーロが、大まかに言うと税金・社会保険料といえます。
収入について少し詳しく見てみます。
2020年時点の世帯あたり税引前収入の平均は月4,715ユーロ、これはコロナ禍の影響で前年からは減少に転じているのですが、それでも2015年の4,196ユーロより約12%増加しています。
コロナ前の2019年は平均4,734ユーロ、コロナが無ければ2020年までの増加率は更に高かったかもしれません。
ここまで見てきた世帯あたり平均所得は4,715ユーロですが、例えば単身世帯と子供のいる夫婦の世帯とでは所得額は異なってきます。
世帯数が最も多い夫婦と子供で構成される世帯での平均収入は7,280ユーロ(約990,216円)。
一方で、単身世帯での平均収入は2,827ユーロ(約384,472円)。
単身世帯の方が総額では下回りますが、夫婦のみ世帯(二人)と一人あたりで比較する、単身の方が一人あたりの収入では上回ります。
一方で、単身よりもひとり親世帯の方が平均収入が高くなっています。
背景は様々考えられますが、最も大きな要因としては、ひとり親世帯への政府による補助金の影響が挙げられると思います。
次に、同じ世帯種類別での支出額の違いを見ていきたいと思います。
世帯構成員数が最も多い、夫婦と子供世帯の支出額が最も大きく、世帯あたり平均で3,560ユーロ、日本円で約484,161円。
単身世帯の場合は月平均支出額は1,600ユーロ(約217,600円)。
同じドイツ統計局が2018年に実施した別の調査では、ドイツでの子供一人当たりにかかる費用は月平均で763ユーロ(約10万円)という結果が出ています。
ドイツでは日本のように塾へ通う事は一般的ではないので、塾の授業料はほとんど無いと言えるのですが、それでもこれだけの費用がかかっているという統計結果です。
全く同じ条件での調査ではないものの、上記のグラフを基に、子どもがいる夫婦の場合、子供が一人としても夫婦2人の消費額は3,560ー763=2797ユーロ、一人当たり1,400ユーロに満たないということになり、総額では上回るものの単身者よりも消費額は小さいことがわかります。
*夫婦間での配分等で状況は変わってきますが、統計上の数字を用いるとそうなります。
最後に消費の内訳を見てみましょう。
世帯消費で最も大きな割合を占めるのが住居・光熱・住居設備費で全体の36%を占めます。
次に大きいのが食費(食費・飲料・タバコ)で15%、次いで乗用車に13%、余暇・レジャーに10%、被服・靴には4%となっています。
衣食住で見ると住への比重が非常に高いです。
住居費もそうですが、今、ドイツ人の大きな悩みの種となっているのが光熱費の劇的な値上がりです。
ウクライナ侵攻の影響で、エネルギー価格が高騰し、それに伴い光熱費の値上がりがこれまでにない程大きな負担となってきています。
これから夏を迎えるところで、ドイツの場合、夏は光熱費はかからない傾向にあるのですが、この後、冬を迎える頃にもエネルギー供給問題が解決の目途を見つけられずにいる場合は、とても深刻な問題になります。
光熱費だけでなく、例えば食品でも食用油を始めとした様々な食材、車のガソリン代などの価格高騰が大きな問題となっています。
少しでも早く、解決の糸口が見える事を願う毎日です。
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