市場調査チーム
アンサンブラウ イベント+マーケティング
ドイツは今日 セントニコラウスの日。
セントニコラウスはサンタクロースのモデルとも言われる聖人で、ドイツではこの日に、子供たちへ贈り物を届けてくれるという伝説があります。
前回に引き続き、ドイツのクリスマス商戦の動向について紹介します。
ドイツの伝統的なクリスマスと言えば、キャンドルを灯して、本物のクリスマスツリーに飾り付け、アーモンドパウダーで作った様々な形のクリスマスクッキーなどが挙げられます。
こうした伝統的なドイツのクリスマス、少しずつ変わってきているのが、ドイツ統計局のデータに現れています。
クリスマスツリーの輸入量の推移から、ドイツのクリスマスの変化を見ていきたいと思います。
上の図では、ドイツのクリスマスツリーの輸入量を表しています。
ここでいうクリスマスツリーは、本物の生木を指します。
約10年前の2012年のクリスマスツリーの輸入量は280万本でしたが、昨年2022年には、100万本減の180万本に減っています。
ドイツのクリスマスでは多くの家庭で、生きた、本物のクリスマスツリーを飾るのですが、その習慣が変わってきています。
要因として考えられるのは、次の点です。
1.核家族化、少子化の進行
ドイツの世帯当たりの平均人数は現在、2名。
平均が2名なので、実際は2名以上の世帯がある分、一人暮らしの世帯も増えています。
大きな、生木のクリスマスツリーを飾るのは、子供と暮らす比較的人数の多い家族に多いのですが、そうした人数の多い家族が減ってきているのが一因と考えられます。
2.移民の増加
弊社編の「データでわかるドイツ市場」でも紹介していますが、シリア内戦やウクライナ侵攻による難民・移民受け入れを含み、ドイツでの外国人人口は大きく増えています。
異なる文化を持つ外国人の割合が増えてくることで、伝統的なドイツのクリスマスを楽しむ人口の割合が減ってきていると考えられます。
3.インフレ
クリスマスツリーの輸入量が特に大きく落ち込んだのは昨年、2022年でした。2022年は物価上昇が非常に激しかった時で、クリスマスの需要全体も、例年より落ち込みを見せていました。重量も大きさも運搬の負荷が高いクリスマスツリーは、昨年劇的に上昇したエネルギーコストの影響を受け、価格もこれまで以上に高くなりました。元々に、安くても10,000円台はしていましたので、価格上昇で需要減の見込みが立ち、結果として輸入量自体が減少した影響も考えられます。
4.エコ意識の高まり
生木のクリスマスツリーを飾ると、木の良い香りが家中に広がってクリスマスムードを盛り上げますし、自然と触れ合うことができる特別の機会を持っているように思います。
ただし、よくよく考えてみると、これらの生木のクリスマスツリーは、クリスマスシーズンが終わると廃棄処分になってしまいます。エコの観点からすると、受け入れられないことです。
ドイツ人は元々にエコ意識が高い国民性を持っていますが、最近はさらにその意識が高まっていて、生木のクリスマスツリーが自然破壊につながるという点を指摘する声も年々大きくなってきているのを感じます。
ちなみに我が家も、今年から切断された生木のクリスマスツリーはやめました。代わりに、これまでのツリーよりは小ぶりになりますが、鉢植えのクリスマスツリーを購入しました。
ちゃんと育ってくれることを願っています!
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