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ドイツ見本市の特性を把握したら、出展目標について再考してみましょう。
前述の通り、ドイツ見本市への出展は、見本市だけで切り取らず、会社全体のマーケティング戦略の一部としてとらえることが必要です。したがって、見本市出展での目的は、自社の営業・マーケティングの中長期目標と密接に結びついているべきです。そして、この目的達成のため、具体的な道筋を立てていくのが出展目標となります。
初めての出展では、出展の目標も目的も新規顧客の開拓に集中するかもしれません。が、海外市場で持続的に成長を続けていくには中長期的視点を持った目標設定が欠かせません。
実際に、ドイツ見本市での出展企業はどのような目標を掲げているのでしょうか。
ドイツ見本市産業連盟による出展目標の調査結果によると、ドイツ見本市への出展目標は主に次の9つが主となっています。
ドイツ見本市への出展企業が掲げる出展目標
2018年にドイツで開催された専門見本市への出展企業500社を対象に、見本市出展の目標について尋ねた結果です。複数回答制で、回答が多かった順に次のようになります。
1.既存顧客への対応:90%
2.新規顧客の獲得:89%
2.知名度の向上:89%
4.企業・ブランドイメージ強化:83%
5.新製品・サービスの発表:82%
6.新たな提携先獲得:68%
7.販売・成約:67%
8. 新規市場開拓:63%
9.新たな販売チャネルの開拓:49%
複数回答なのでいずれも高い割合となっていますが、最も多いのは「既存顧客への対応」で、回答企業の9割が選んでいます。次いで僅か1%の差で、「新規顧客の獲得」と「知名度の向上」が続きます。
注目すべきは、既存顧客と新規顧客の重要性がほぼ同等であることです。むしろ既存顧客維持の方がわずかですが優勢です。日本からの出展、特に初めてのドイツ見本市への出展では、新規顧客の獲得が重要視される場合が多いかもしれません。が、実際のドイツ見本市を冷静に見てみると、出展企業は新規顧客の獲得と同じぐらい(またはそれ以上に)既存顧客との関係強化を重視していることがわかります。
さらに、「新しい」がつくのは、「新規顧客」に加えて、「新たな提携先」、「新規市場」「新たな販売チャネル」と、マーケティングの全方向で新しいものが求められていることに気づきます。
これは、見本市が顧客(候補)だけでなく、様々な方向性での新しい出会いの機会を提供していることを意味しています。もちろん、新規顧客獲得はドイツ見本市出展で優先される目標です。ただ、同時に新しい提携先や市場、販売チャネルを探すことも重要です。見本市は様々な方向での新しい出会いの場を提供しているのです。
見本市の出展目標は新規顧客獲得だけではないのです。短期的な目標設定として、特に初めてドイツ見本市に出展する企業では、新規顧客獲得が主要となる場合が多いと思います。しかしながら、ドイツ見本市を長く活用していく、すなわちドイツをはじめとした海外市場で成長するためには、既存顧客との関係を深める事への努力が欠かせません。
海外進出の成否はドイツ見本市の出展が3年以上続くかどうかである、と言われます。1年目の出展は新規顧客の獲得に注力して、成約までいかなくとも知り合った顧客候補と継続して連絡を取り合い、顧客となり、信頼関係を深めていけると、太く長い取引関係を築くことができるのです。実際、ドイツの見本市出展で成功している日本企業のお客様の多くが、中長期の目標を据えて出展を継続されています。縦横に広がる、多方面でのネットワークを築くことが、見本市を使いこなすコツといえます。
では、顧客や潜在的な顧客である来場者は何を望んでドイツ見本市に足を運ぶのでしょうか。
ドイツ見本市産業連盟が実施したアンケート結果を基に、次回は来場者の目標について少し詳しく見ていきたいと思います。
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