9. ドイツ見本市ブースの運営②

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見本市ブースの運営後編です。来場者記録や見本市を市場調査に使う方法、仕上げの撤収作業について紹介します

 

来場者記録

効果的なフォローアップ、そして成約へにつなげるために、見本市開催中の来場者とのやりとりを記録しておくことが重要です。はじめに紹介した通り、現在の見本市では、見本市後のフォローアップが成否を決めるようになってきています。

 

来場者記録のとり方には様々ありますが、一般的には次の形式が使われています。

 

1)用紙に記入:予め作成し印刷した記録用紙に、名刺と共に会話の内容を記録。

 

2)自社システム活用:リードマネジメントシステムを使い名刺情報を入力・管理。

 

3)ネームカード読取り(主催者用意の場合):ネームカード等から来場者情報をスキャン。

 

記録方法については、今後はデジタル化が進むかもしれませんが、現状では、1)の記録用紙へ書いて記入する方法が一般的といえます。担当スタッフが短時間で重要なポイントを記録しやすい形式で作成し、予め印刷しておいた記録用紙を用意しておけば、記録に費す時間を効率化でき、その分多くの来場者と会話を交わせる可能性が高まります。記録用紙は読みやすく、すぐに内容が把握できるよう簡潔にまとめられるようにしておくことが大切です。

 

*来場者とのコミュニケーション内容を簡単に記録できる商談ノートのサンプルをご利用ください。こちらより無料ダウンロードできます。

 

2)のリードマネジメントシステムを展示ブースで活用する企業も見られますが、多くの現場スタッフが必要となる展示ブースで全ての担当者がアクセスできるようにするには、包括的なシステムが必要です。

3)のネームカード等から来場者情報を自動的にスキャンできる方式は、特に米国の主催者による見本市では、ドイツで開催する場合にも採用するケースが増えてきています。ドイツや欧州の会社が主催者である見本市では、まだこのスキャン方式は採用されていないように感じています。おそらくですが、欧州の個人情報保護法の徹底ぶりが示すように、個人情報入手への配慮が背景にあるのかもしれません。

 

新しい出会いの場である見本市の現場では、多くの新しい個人データを入手可能な場でもあります。気を付けたいのは、どの方法で来場者情報を入手する場合でも、個人情報保護法に留意し、順守することです。

 

 

ドイツ見本市での個人情報保護法の取り扱い

ドイツ見本市産業連盟による見本市での個人情報保護法の基本的なガイドラインを紹介します。

 

来場者の情報が電子データとして収集・保管されると、自動的に情報処理が行われたことになります。この情報処理が行われる時点で、GDPR(EU一般データ保護規則)が適用となり、基本的には個人データを自動的に処理することは禁じられます。ただし、そこには許可条項が定められており、許可条項を満たす場合は除外、つまり禁止を免れます。見本市に関連すると、次の条項がある場合は個人データの処理が禁止とはなりません。

  • 来場者が個人情報の使用に対し同意を与えた場合
  • 来場者が契約の当事者である場合に契約の履行、または来場者の要求に応じて契約前に使用が必要である場合
  • 出展者と訪問者の利益のバランスを取った結果、出展者の正当な利益が優先される場合

展示会ブースでは、来場者が名刺を渡すなど自ら個人データを出展者に提供することが多いため、ここでは電子データ収集への同意が口頭、または言わなくても伝わる状態で基本的にあると見なされます。ただし、そうした口頭や暗黙での書面によらない同意は明確に同意をした証明とはならない場合もあります。それでも、出展者は正当な利益を根拠にデータを収集し、例えば広告目的で使用することが認められます(3番目の条項)。つまり、出展者の利益(例えば、マーケティング目的で訪問者のデータを利用すること)が、訪問者の利益(データのプライバシー保護)よりも重要であると判断される場合には個人データの収集・処理が認められます。

 

 

見本市の市場調査への活用法

展示ブース内での商談や商品プレゼンに加えて、ブースでの来場者アンケートや見本市会場を見て回ることで市場調査を行えるのが見本市のメリットです。

 

競合他社のブースを視察し、商品についての情報だけでなくブースのデザインやブース内でのイベントなどからインスピレーションを受けて、素晴らしいアイディアが生まれることもあります。タイミングを見て、スタッフで見本市会場ツアーを行うと、スタッフのモチベーション向上が期待できます。

 

弊社には見本市の視察随行の経験豊かな通訳者も揃っています。視察の場でも重要なのはコミュニケーションです。ぜひ弊社の見本市随行通訳をご利用いただきたいと思います。お問い合わせはこちらから、お気軽にご相談ください。

 

見本市会場では次のような配布物も入手できます。これらの情報から市場情報を得ることもできます。

  • 見本市オンラインカタログや情報システム
  • 特別企画イベントについてのカタログ
  • 業界キーパーソンによるプレゼンテーションや基調講演
  • 業界誌の特集記事
  • 競合会社のカタログや宣伝商材
  • 主催者によるトレンド等の分析レポート

 

出展ブースの仕上げの仕事

ひとつの見本市の閉幕は、次の見本市への準備の始まりでもあります。

最終日の終了時間となったらすぐに、ブーススタッフでミーティングを行い、改善点等について話し合いの場を持つことが効果的です。まだ記憶が新鮮なうちに、小さなことでも書き残しておくことで次回の出展に大きく役立ちます。

 

注意:撤収のタイミング

展示ブースの撤収は、見本市閉幕後に行いましょう。撤収の開始は、見本市終了時間以降に行うという事は、出展登録時の義務のひとつに定められています。実際に、終了後に撤収を開始する方がその後の運送プロセスのタイミングもスムーズで、結果的に時間節約となります。撤収プロセスは多くの場合、主催者によって厳しい規定があります。

 

大切な展示品が間違いなく撤収できているか確認し、不要なゴミを出さないよう、素材や備品の再利用を心がけましょう。

 


ドイツ見本市でのご相談

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